「デザイン」という言葉に、どんなイメージをお持ちでしょうか？
かつては、専門のデザイナーがMacを駆使して行う、少し敷居の高いクリエイティブな作業。そんなイメージだったかもしれません。しかし、今は違います。Web上には無料で使えるデザインツールが溢れ、誰でも手軽に、直感的にデザインを生み出せる時代になりました。
その代表格が、ご存知「Canva」です。
Canvaは最高！悪いのは、Adobe社？いや、古い慣習？
豊富なテンプレート、ドラッグ＆ドロップの簡単な操作性。SNSの投稿画像から、プレゼン資料、簡単なチラシまで、Canvaがあれば「それっぽい」デザインが本当にあっという間に完成します。「これで私もデザイナーの仲間入りかも！」そんな風に思った方も少なくないでしょう。私もその一人でした。
しかし、Canvaで作成したデザインを、次のステップ、つまり「プロの印刷会社に入稿する」というフェーズに進めた時、私はキラキラして見えたデザインの世界の、もう一つの不便で厄介な側面に直面することになったのです。
最初の壁：印刷会社から告げられた「.aiファイルでお願いします」
事の始まりは、自分でデザインした名刺とイベント用のチラシを印刷しようと思った時でした。Canva Pro（有料版）を契約し、自分なりに満足のいくデザインが完成。早速、Webサイトで見つけた印刷会社に入稿しようと、データのアップロード画面に進みました。
そこで、私の目に飛び込んできたのは、見慣れない言葉でした。
「ご入稿は『.ai』または『.eps』形式でお願いいたします」
「.ai…？エーアイファイル？」
Canvaの書き出し（ダウンロード）形式には、PNG、JPG、PDF、SVG…など、様々な選択肢があります。しかし、いくら探しても「.ai」という拡張子は見当たりません。
それもそのはず、「.ai」ファイルとは、プロのデザイナーが標準的に使用するソフトウェア、Adobe社の「Illustrator（イラストレーター）」の専用ファイル形式だったのです。Canvaで作ったデータを、そのままIllustratorで完全に再現できる形で保存することはできません。
この瞬間、私がCanvaで積み上げてきたデザインは、印刷の世界の入り口で門前払いを食らったようなものでした。「手軽に自分で完結できる」と思っていたデザインの世界が、急に専門的な壁となって立ちはだかったのです。
もちろん、PDF形式で入稿を受け付けてくれる印刷会社もあります。しかし、その場合でも、次の大きな問題が待ち受けていました。
画面では綺麗だったのに…「RGB」と「CMYK」という色の罠
なんとかPDFで入稿できないか印刷会社に問い合わせ、データの調整を進めていた時のことです。担当者の方からこんな指摘を受けました。
「お客様のデータはRGBカラーで作成されていますね。印刷はCMYKカラーで行うため、画面で見ていた色と、実際に印刷された時の色味が大きく変わってしまう可能性がありますが、よろしいでしょうか？」
「RGB？CMYK？」
またしても呪文のような言葉の登場です。調べてみると、これは色の表現方法の根本的な違いでした。
- RGB（光の三原色：Red, Green, Blue）
- パソコンのモニターやスマートフォンの画面など、光を発して色を表現する「加法混色」。
- 色を混ぜれば混ぜるほど白に近づき、非常に鮮やかで幅広い色を表現できます。WebサイトやSNSの画像は、基本的にこのRGBで作られています。
- CMYK（色の三原色：Cyan, Magenta, Yellow, Key plate=Black）
- チラシやポスターなど、紙にインクをのせて色を表現する「減法混色」。
- 色を混ぜれば混ぜるほど黒に近づきます。インクで再現できる色の範囲はRGBよりも狭く、特に蛍光色のような鮮やかな色は表現が苦手です。
私がCanvaの画面上で「この鮮やかな青がいい！」と選んだ色は、RGBの世界だからこそ表現できていた色だったのです。これをCMYKのインクで無理やり再現しようとすると、どうしても彩度が落ち、少しくすんだ、濁ったような色合いになってしまうのです。
Canvaの有料版には、データをCMYKに変換してダウンロードする機能があります。しかし、これはあくまで「変換」であり、作成段階からCMYKの色域を意識して作られているわけではありません。そのため、変換後の色が自分のイメージと合っているかどうかの微調整は難しく、「あとは印刷してみないとわからない」という、ある種の賭けになってしまいます。
PCの画面上ではあんなに輝いて見えた私のデザインが、印刷されることで全く別の表情になってしまうかもしれない。この「色の違い」は、デザインの根幹を揺るがす大きな問題でした。
結局、誰かに頼まないと…互換性のない世界の面倒さ
「.aiファイル」と「色の問題」。この二つの壁にぶつかった私は、自力での解決を諦めかけていました。
Canvaで作ったPDFデータを、無理やりIllustratorで開いて「.ai」として保存し直す、という荒業も考えられます。しかし、これには大きなリスクが伴います。
Canvaから書き出したPDFは、Illustrator上で完全に編集可能なデータとして開けるわけではありません。文字情報が図形（パス）として認識されてしまい、後からテキストの修正ができなかったり、複数のオブジェクトが勝手にグループ化されていて扱いにくかったりします。
印刷会社が求める「.aiデータ」というのは、 단순히拡張子が「.ai」であれば良いというわけではありません。後から修正や調整ができるように、文字はアウトライン化され、画像は適切に埋め込まれ、レイヤー構造が保たれている「編集可能なデータ」であることが求められます。
Canvaの世界と、Adobeの世界。この二つは、似ているようでいて、データの互換性という点ではほとんど断絶されていると言っても過言ではありません。
結局、私に残された選択肢は二つでした。
- 自分でAdobe Illustratorを契約し、使い方を学び、Canvaのデザインを一から作り直す。
- デザインのできる誰かに依頼して、Canvaのデータを元に印刷用のデータを作成してもらう。
手軽に、スピーディーに、そして安く済ませるために選んだはずのCanva。それなのに、最終的にはAdobe製品という新たな出費と学習コストを払うか、結局は外注費を払って誰かに依頼するしかない、という本末転倒な状況に陥ってしまったのです。
結論：目的に合ったツール選びこそが、デザインへの一番の近道
今回の経験を通じて、私はデザインツールの世界における重要な教訓を学びました。それは、「何を作りたいのか」という目的に応じて、最適なツールを選ぶ必要がある、ということです。
Canvaは決して悪いツールではありません。むしろ、SNSの投稿やWebサイトのバナー、企画書のデザインなど、「画面上で完結する」デザインにおいては、これ以上ないほどパワフルで便利なツールです。私も今でも日常的に活用しています。
しかし、「印刷会社に入稿して、商業レベルの印刷物を作る」というゴールが最初から見えているのであれば、話は別です。その場合、遠回りに見えても、最初から業界標準であるAdobe Illustratorのようなプロ向けのソフトを学ぶか、専門のデザイナーに依頼する方が、結果的に時間もコストも、そして精神的なストレスも少なく済むのかもしれません。
手軽さという入り口からデザインの世界に足を踏み入れた結果、その奥にある専門性と互換性の壁にぶつかり、立ち往生してしまった私の失敗談。
もしあなたがこれからCanvaで何かをデザインしようとしているなら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
「そのデザインの最終的なゴールは、どこにありますか？」と。
その答えが、あなたにとって最適なツール選びの、そして快適なデザインライフへの第一歩になるはずです。
【追伸】Canvaだけじゃない！もう一つの選択肢「Miricanvas」
この記事を読んで、「Canvaは知ってるけど、そんな不便な面があるんだ…」と思った方もいるかもしれません。そんなあなたに、もう一つの新しい選択肢をご紹介します。それが、韓国発のデザインツール**「Miricanvas（ミリキャンバス）」**です。
Miricanvasは、基本的な操作感や機能がCanvaと非常によく似ており、Canvaを使ったことがある人なら、ほとんど迷うことなく使い始められるでしょう。
では、Canvaと何が違うのか？最大の特徴は、テンプレートのデザインテイストです。
韓国発ということもあり、ポップで可愛らしいデザインや、K-POPカルチャーを彷彿とさせるような、おしゃれでトレンド感のあるテンプレートが豊富に揃っています。みんながCanvaを使う中で、「少しだけテイストを変えたい」「他の人とデザインが被りたくない」という時に、Miricanvasは強力な武器になります。
特に、プレゼンテーション資料のテンプレートは秀逸で、「Canvaのデザインは少し海外風で使いにくいな」と感じていた方には、より日本のビジネスシーンにマッチするデザインが見つかるかもしれません。
ただし、この記事のテーマである「プロの印刷入稿」という点においては、MiricanvasもCanvaと同様の課題を抱えています。ダウンロード形式はJPG、PNG、PDF、PPT（パワーポイント）が中心で、「.ai」形式での書き出しはできません。CMYKカラーへの対応も、Web上での利用がメインのため、基本的にはRGBでの作成となります。
つまり、Miricanvasもまた、「画面上で完結するデザイン」を得意とするツールなのです。
「じゃあ意味ないじゃないか」と思うのはまだ早いです。重要なのは、やはり「使い分け」です。
- 世界標準のデザインや豊富な素材で作りたいなら → Canva
- 韓国風のおしゃれなテイストや、他の人と被らないデザインを探すなら → Miricanvas
SNS投稿やWebバナー、企画書などを作る際に、この二つのツールを知っているだけで、あなたのデザインの幅は格段に広がるはずです。Canvaに少しマンネリを感じてきた方は、ぜひ一度、この新しい選択肢「Miricanvas」を覗いてみてはいかがでしょうか。
※この記事は、Geminiを活用して制作されています。
※PR投稿ではありません。